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放映権料に見るプロ野球とMLB ~日米のメディア環境の違い~

おひさしぶりです!今回はスポーツビジネス・根幹事業のひとつ放映権について、日米のメディア環境に違いに着目して簡単に書いてみました。

 

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そもそも、「放映権」とは

まず、球団ビジネスを支えるひとつの柱である「放映権」はどのような定義なのでしょうか。一般的には、◯◯権という「権利」は法律等で規定されているイメージがあります。
Wikiによると、以下のような定義があります。
放映権(ほうえいけん)とは、主にテレビ局でのテレビ放送において、他社から借り受けたり配給されたニュース素材・放送番組や、スポーツ・イベントを独占的に放映できる権利のことを指す。ラジオ放送の場合は、放送権と言う場合が多い。
引用元

ja.wikipedia.org

しかしながら、何となくの定義はあるものの、放映権を規定する法的本拠はないみたいです。では、「放映権」がどのように規定されているかというと、その大元となっている権利規定は「施設管理権」のようです。たとえば、球場をそもそも「所有」している、あるいは所有はしていないけど事業権を獲得し「専有」することで、放送局に対して「所定の場所にカメラを設置して撮影・放映していいですよ」という権利を売って収入を得られるわけですね。
放映権を考えるうえで、球場やスタジアムの事業権を球団が握っていることが大切なので、昨今の球場・スタジアムをチームが所有しようとする動きも納得性がありますね。

 

▽放映権とは

www.itsportsbiz.work

 

プロ野球球団における放映権料収入の位置づけ

プロ野球球団のビジネスにおける放映権料の立ち位置を簡単に確認してみましょう。リンクの記事によると、2017年の楽天イーグルスの事業収入のうち約11%を放映権料が占めています。

楽天イーグルス「観客増で営業黒字化」の背景 | スポーツ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

球団の年間収入を約150億円と仮定すると、放映権料は約16.5億円の計算になります。MLBと比較すると、やはり日本のプロ野球の放映権は高くないといえるでしょう。

 

プロ野球の放映権料は、MLBと比べて安いのか?

それでは、本題のプロ野球とMLBの放映権料の比較に入っていきます。
具体的な数字は分かりませんが、以下の記事が参考になりました。
この記事は、丸の内朝大学「野球の魅力再発見」の講義にて、パシフィックリーグマーケティング株式会社代表取締役の根岸友喜氏が「プロ野球とビジネス」をテーマとして話した内容が書かれている。これによると、近年のMLBの市場規模は1兆超。一方で、プロ野球(NPB)は1,800億円程度。MLBの約1/6程度にとどまっているのが現状です。
球団数の違い(12:30)を考慮に入れても、これだけの差がつくのはなぜか?その答えは、放映権料にあるようです。
MLBの収益の中心は放映権料であり、プロ野球の場合はチケット収入→スポンサー収入→放映権料となっていることからも、これは間違いないでしょう。放映権含め以下の書籍ではスポーツビジネス全般について理解を深めることができます。特に入門の方にはおすすめです。
一番読まれている定番テキスト、待望の新版。 アマチュアからプロまで、はじめての本格的な入門書! 斯界の第一人者が、豊富な実例とともにエッセンスを体系的な知識として提示。
 

プロ野球(日本)がMLB(アメリカ)より放映権料が圧倒的に低い理由

 

なぜ、放映権料でここまでの差がつくのでしょうか?これは、外部環境によるものが大きいと言えそうです。
日本は「有料でテレビを視聴する」という習慣がない一方で、アメリカでは有料テレビが当たり前でした。それが、近年のOTTの台頭により「有料テレビvsOTT」という構図ができています。そこでキーになるのが、度々触れているスポーツの「ライブ性」です。
OTTの普及により、ニュースやバラエティーなどあらゆる番組が「いつでも」「どこでも」視聴可能となり、広告価値も下がるなか、唯一「いつでも」が通用しないのがスポーツコンテンツ。このコンテンツを囲い込むために、米国のローカル局は地元球団と長期にわたる高額な契約を結ぶわけですね。ここでの注意点は、MLBが放映権の一括契約をしていて、それが高額な契約につながっていると思われがちですが、むしろスポーツのライブ性・コンテンツ価値を活かした地元放送局との契約が大きく、その背景にはテレビの「有料視聴」があるという点です。
 
2019年に巨人とDAZNが契約を結んだ一方、広島・ヤクルトが抜けたことで、「リーグで一括管理しろ、その方が高く売れるし全チーム観れる」みたいな論調が高まっていますが、上記の理由で一括管理しただけではさほど放映権料が上がらない可能性もありますし、これだけ包括されたコンテンツだと逆に買い手が少なくなるリスクも考えられます。

www.excite.co.jp

 

MLBのような放映権一括管理のメリットは?

もちろん、放映権一括管理にメリットがないわけではありません。実際、日本でもJリーグやBリーグは放映権をリーグ一括管理にすることで放映権を高く取引し、リーグからクラブに還元しているモデルもあります。ただ、プロ野球の場合はBリーグやJリーグと比較してチーム数も少なく、日本のメディア環境においてはここから一括管理するメリットは薄いかもしれません。ある程度チーム数が多く、事業面から競技レベルまでボトムアップしていきたい場合に、リーグ一括管理からチームへの分配のモデルがより効果的かもしれません。

ただ、日本でもJリーグがDAZNと10年2100億円での契約にしている事例もあるので、プロ野球においても一括管理を求める声が挙がるのも理解はできますね。

 

とはいえ、この巨人とDAZNの契約がきっかけとなって新たな動きが出てくるかもしれないですし、今後に注目したいと思います。

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www.itsportsbiz.work

 

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