日本は、よく「マーケティング後進国」と言われています。国土の狭い日本では、いわゆる「飛び込み」という言葉に代表されるように、足で稼ぐ営業が中心であったことが背景にあります。
一方、マーケティングが浸透しているアメリカは国土が広く、日本のようなやり方は通用しません。直接会えないなかでも「売れる仕組み」を作っていくことが重要であり、これだけマーケティングが発達しているのも頷けます。
本記事では、システムエンジニアを本業としつつマーケティングに興味を持ち、独学で学びながら、副業としてのマーケティング関連の仕事も獲得し始めている筆者が、初心者におすすめのマーケティング書籍をご紹介します。
- 「マーケティング」は非常に範囲が広い
- 初心者におすすめのマーケティング本・12選
- マーケティングの本家・P&Gのエッセンスが詰まった『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
- マーケターはデータを分析していればよいのか?『顧客起点マーケティング』
- マーケティングでは相関ではなく因果関係を!『ジョブ理論』
- 真の競合をどう見極め、市場を「作る」か『「行動デザイン」の教科書』
- 顧客の「心理」を理解する重要性『シュガーマンのマーケティング30の法則』
- 現代の最先端のマーケティングを学ぶ『革命のファンファーレ』
- 事例も交えながらマーケティングのフレームを学べる『マーケティング大原則』
- 「熱量」が人を動かす『マーケティング・ビッグバン』
- 普遍的なマーケティングの基礎を習得するなら『グロービスMBAマーケティング』
- 本場アメリカのマーケティングエッセンスを学ぶなら『ハイパワー・マーケティング』
- 本質的な価値の見抜き方『マーケット感覚を身につけよう』
- 今後のマーケティングを知るには『アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40』
- <おまけ>デジタルマーケティングの本質を理解するにはこの一冊『デジタルマーケティングの定石』
- ファンマーケティングの実践につながる本・3冊
- <応用編>上級者のおすすめのマーケティング本
- マーケティングをより実践的・本格的に勉強したい方は・・・
- BtoBマーケティングのおすすめ本
- マーケティング思考<戦略思考<論理的思考
- 初心者にもおすすめのマーケティング勉強講座
- マーケティング初心者の勉強におすすめのTwitterアカウント
- マーケティングの変遷
- マーケティングはビジネスパーソンの必須科目?
「マーケティング」は非常に範囲が広い
そもそも、「マーケティング」とは何を指すのでしょうか。定義を調べてみると、著名なマーケターや学者それぞれで定義が異なることからも明らかで、非常に広い概念です。
ざっくりと「商品やサービスが顧客に購買され続ける仕組みを構築すること」と言われることも多いですが、商品企画から開発、プロモーションや広告、営業や販売まで、あらゆる業務に関わってきます。
なぜ、マーケティングか?
モノがまだまだ行き届いておらず「作れば売れる」時代であれば、マーケティングは不要といえます。しかし、モノが溢れる現代で少子高齢化と人口減少が待ち受ける日本において従来の「売り方」では長続きしなくなっています。
その苦しい状況を打開するキーワードのひとつが「マーケティング」です。
日々、無数の広告や情報を受け取り、人口減少も相まって競争率が高くなるなか、マーケティングの考え方を駆使して「顧客」に視点を移し、解決したい課題やその「文脈」などを徹底的に分析することが大切です。
プロダクトやサービスを売り手目線で「伝えたい人」ではなく、顧客目線で「伝えてほしい人」を見極め、情報や価値を伝えていくうえで、ぜひ本記事でご紹介するマーケティング本を参考に、初心者の方でもマーケティングやその考え方を吸収していただければと思います。
マーケティングを勉強するメリット
マーケティングは、いわゆるマーケターだけのためのものではありません。商品やサービスを作るところからお客様に届けるまでの一連のプロセスであるがゆえに、営業マン・クリエイター・バックオフィスといったあらゆる職種の人に必要な考え方です。
私自身、エンジニアを本業としているなかでマーケティングを時間をかけて学び、そのおかげで特に「なぜ?」という部分をより考えられるようになり、ものごとの本質に迫れるようになりました。
マーケターでない方でも楽しみながらマーケティングを勉強できる本を厳選しているので、ぜひ参考にしてみてください。
マーケティングの本をKindle Unlimitedで覗くこともできる
本記事でこれからご紹介するマーケティングの本・参考書がおすすめではありますが、特に初心者・入門者の方にとって、いきなり書籍を購入するのは躊躇われるかもしれません。
そんな方におすすめなのは、Kindle Unlimitedです。初めて会員になる場合、無料体験期間もあるので、タイミングにもよりますが以下のような本を無料で読むことが可能です。
- 大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる (角川文庫)
- 世界一わかりやすいマーケティングの本 (East Press Business)
- 世界を歩いて見つけたマーケティングのヒント
- はじめてでもよくわかる! デジタルマーケティング集中講義
- 恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。
費用を抑えつつ、気軽にマーケティングについて学びたい方はKindle Unlimitedのお試し利用もおすすめです。
マーケティングのプロセスをざっくりと可視化
私なりのイメージとしてはこんな感じです。
たとえば、マーケティングといえば「広告」や「プロモーション」などのイメージが強い人も一定数いますが、マーケティングを俯瞰して考えると広告はほんの一部でしかありません。
これだけ範囲が広い故、マーケティングの「本」においても世の中には色々な本があります。マーケティングを勉強してみたい方、すでにマーケティングに関わっているがより理解を深めたい方は、時間が限られるなかでどの本を選ぶか迷う人も多いかもしれません。
以下では、特にマーケティング初心者に向けて、おすすめの書籍を厳選して紹介します。ちなみに、先ほどの図にこれからご紹介する本をざっくりとプロットしてみるとこんな感じです。
初心者におすすめのマーケティング本・12選
では、おすすめのマーケティング本12選を紹介していきます。主に初心者向けなので、理論ばかりが詰まったものというより、実務でどう活用されているか、など具体的なマーケティングのイメージも分かるような本を中心に紹介します。
マーケティングの本家・P&Gのエッセンスが詰まった『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
マーケティングの強い企業として有名なP&G出身で、企業の存続が危ぶまれていたUSJジャパンを再生するどころか、ディズニーと並ぶエンターテインメント・テーマパークにまで成長させた森岡氏。
著者が顧客目線が全然なかったUSJという組織をいかに転換し、現在のUSJの礎を築いたか、その奮闘を知ることができます。また、いかに間違った「差別化」があったのか、値上げをしながら客数を増やしたマーケティング戦略などが解説されています。
- 「映画のセレクトショップ」からの転換
- ハリーポッターのアトラクションができるまでのマーケティング戦略
など、USJ復活の裏側をマーケティング視点で学びたい方はこの本を手に取ってみてください!
マーケティング本100冊読んだけどこれが一番いい『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
森岡毅さんの本については別記事でもまとめています。
マーケターはデータを分析していればよいのか?『顧客起点マーケティング』
マーケティングといえば、「データを分析し、それをもとにマーケティング施策を打ち出す」といったイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、これはひとつの側面にしか過ぎず、むしろ数字に依存し、統計的な顧客像をもとにした施策は顧客の心に刺さらないことがほとんどです。
本書で紹介される9セグマップに沿って自社の顧客をセグメントし、それぞれのセグメントでN1インタビューを行うだけで、マーケティング施策につながる「アイデア」を発見できます。
「スマートニュース」を急成長に導いた西口氏が、その戦略やフレームワークを解説してくれています。目の前の顧客に向き合うだけで、マーケティングを通じた大きな成果をいかに得ることができるか、イメージさせてくれる本です。
マーケティングでは相関ではなく因果関係を!『ジョブ理論』
マーケティングにおけるデータ分析が陥りがちな罠が「相関」と「因果」を混同することです。どんな顧客に売れているのか、年代や性別、職業などの属性で顧客を細分化しがちです。
もちろん、マーケティングではセグメンテーションが基本のひとつではあるのですが、このような属性だけでは、商品やサービスの購買における「相関関係」しか明らかになりません。
顧客がそのプロダクトに辿り着くには、企業からは見えないさまざまな背景があります。
どんなことを解決したくて、その顧客がどのようなチャネルやタイミング、心理で「購買」に踏み切るのか。この「因果関係」を明らかにしていくうえで、本書の「ジョブ理論」の考え方が非常に有用です。
ミルクシェイクを例に取ると
・文脈:長い車通勤の車中で朝食を取りたい。運転しながら、すぐになくならないもの
・機能的価値:甘くてすぐに飲み切れない(長持ち)。ホルダーに収められる。
・感情的価値:朝からチョコレートを食べるのを回避。同僚に見られても恥ずかしくない。
レビュー記事もありますので、興味のある方は併せてご覧ください。
真の競合をどう見極め、市場を「作る」か『「行動デザイン」の教科書』
商品やサービスの機能面だけでは差別化が図りづらくなり、低価格競争に陥ることもしばしばあります。その一因は、「プロダクト」を起点にSTPや4Pといったマーケティング戦略を打ち出していることにあります。
先ほどの「ジョブ理論」に通ずる部分もある本書は、顧客の「行動」からプロダクトのコアな価値やその打ち出し方(コミュニケーション)を考えていくことで、市場を作ったり拡大したりできる、としています。
また、「行動デザイン」の考え方に沿うことで、「真の競合」が見えてくるでしょう。商品・サービスと顧客を結ぶ「行動」を解明すれば、自ずと顧客視点になれます。
マーケティングで重要な「顧客視点」をより実践的に理解したい方におすすめの本です!
顧客の「心理」を理解する重要性『シュガーマンのマーケティング30の法則』
本場アメリカでダイレクトマーケティングのさまざまな成功を収めてきた著者による、顧客の心理を踏まえたマーケティングの考え方が多面的な切り口から解説されています。
マーケターとして、顧客の心理がどう動き、購買する・しないといった選択に影響しているのか、これを理解する重要性は言うまでもありません。学問的なレベルまではいかなくても、「心理学」の基礎を抑えておくとマーケティングの業務に活かせる点も多いでしょう。
本書は、マーケティングと心理の関係を理解するのにはうってつけの一冊です。
現代の最先端のマーケティングを学ぶ『革命のファンファーレ』
2020年、新型コロナウィルスが到来し、特にオフラインを中心としたビジネスが大打撃を受けています。
そこで注目されていたひとつの施策が「クラウドファンディング」を活用した資金集めです。「前売り券」などの形で、そのお店やタレントなどのファンが従来の活動が制限される事業者を応援します。
実は、このクラウドファンディングや、オンラインサロンといった活動を何年も前から展開していたのが著者の西野亮廣氏です。この当時に書かれていたことが、まさに2020に世間に浸透していることがよく分かります。
「顧客」ではなく「ファン」を増やすことの重要性、いかにファンを増やしていくか、など常に時代の最先端を走る著者が、マーケティングや広告における考え方を記しています。
西野亮廣氏関連の書籍まとめはこちら
事例も交えながらマーケティングのフレームを学べる『マーケティング大原則』
マーケティング自体が幅広いですが、数値や理論を駆使した複雑なものというイメージを持っている人も多いかもしれません。しかし、マーケティングの原則自体は実にシンプルです。
基本となるフレームを理解し、いかに実践できるか。本書は、マクドナルドや、ポケモンGoの生みの親であるナイアンティックのマーケティングで活躍した著者が、その経験も交えながらマーケティングの原則を分かりやすく解説しています。
「熱量」が人を動かす『マーケティング・ビッグバン』
著者は、日本ロレアルでデジタルマーケティングを推進し、インスタグラムのマーケティングにも携わった経験のある長瀬氏。デジタルマーケティングが発展するなかでも、ユーザーや顧客と向き合う重要性は変わりません。
そして、現場でユーザーや顧客を動かすのは、やはりサービス提供者の熱量です。マーケティングにおける熱量の位置づけなど、これからの時代に必要なマーケティングの常識に触れることができる一冊です。
普遍的なマーケティングの基礎を習得するなら『グロービスMBAマーケティング』
ビジネススクールとして多くの人に知られる「グロービス」が、その講義内容や知見をもとにマーケティングの原則を多面的にまとめた一冊です。
マーケティングにもさまざまな領域がありますが、それらを網羅し、一読すれば「ポジショニング戦略」や「コミュニケーション戦略」、「マーケティングリサーチ」など、知識として得ることができるでしょう。
学術的なテイストはありつつも、読んだ人が理解を深められるような具体的な事例も多くあり、網羅的に学習したい人には特に本書がおすすめです。
本場アメリカのマーケティングエッセンスを学ぶなら『ハイパワー・マーケティング』
マーケティングの本場はアメリカです。日本と比較して国土が広く、全ての顧客のもとを訪問するには無理があり、そのなかでいかに顧客を獲得するか、という文脈で「マーケティング」が発達しました。
そのアメリカで「バイブル」とされるのが本書です。どちらかというとデジタルを駆使したマーケティングの内容もありますが、リアルなマーケティングにも活用できる内容ばかりです。
【3分要点】まさか読んでない?伝説のマーケ本「ハイパワーマーケティング」
本質的な価値の見抜き方『マーケット感覚を身につけよう』
インターネット社会では情報がオープンになり、特に機能的な価値はすぐに真似されてしまいます。ラーメンの味などは典型的な例でしょう。
そこで、現代のマーケティングで重要なのが消費者が商品やサービスに対して感じる本質的な価値を見抜くことです。それは必ずしも機能的な価値ではなく、感情的な価値や社会的な価値かもしれません。
有名なブロガーであるちきりんさん著のこの本では、分かりやすい文章でマーケット感覚の身につけ方を教えてくれています。この本を読むと、世の中の見方がきっと変わるでしょう。
今後のマーケティングを知るには『アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40』
2020年を語るうえでやはりコロナの影響は外せません。コロナによって、ビジネスモデルの転換を余儀なくされた企業も多いでしょう。マーケティングの形もデジタル時代の波のなかでコロナが襲来し、マーケティング活動の中身や意義も問われています。
コロナによって変わったこと、あるいは元々変化しつつあったのがコロナで加速したこと、などを見極めながらマーケティング戦略を組み立てていく必要がありますが、本書ではアフターコロナのマーケティング戦略をトップマーケター2人が解説しています。
<おまけ>デジタルマーケティングの本質を理解するにはこの一冊『デジタルマーケティングの定石』
新型コロナの影響もあり、企業のマーケティング戦略を考えるうえで「デジタルマーケティング」は無視できなくなってきています。しかし、「デジタルマーケティング」を何となく始めて何となく失敗するケースが後を絶ちません。
著者は、「AIアナリスト」というサービスで莫大な量のページを解析し、その知見からデジタルマーケティングの定石を導き出しています。
デジタルマーケティングができること、そしてできないことを理解したうえで、マーケティング戦略に組み込むことが大切です。
本書は、デジタルマーケティングの限界も含めて解説してくれており、これからデジタルマーケティングを担当していく方や興味のある方におすすめの一冊です。
ファンマーケティングの実践につながる本・3冊
日本は今後人口減少が見込まれており、業界問わず国内市場の縮小に備えておく必要があります。また、インターネット社会になり業界の壁を超えた競争が激化し、機能面だけでの差別化が難しくなっています。
さらに、新型コロナの影響で、消費者心理は冷え込んでいます。そこで重要になっているマーケティングの考え方が「ファンマーケティング」です。
「顧客」ではなく「ファン」を増やすことで、苦境を乗り越える企業や挑戦する企業を応援してくれ、LTVも伸びて人口減少でも堅実な経営基盤を築けます。
ファンマーケティングの実践につながる本を3冊ご紹介します。
ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために
ファンマーケティングの代表的な本は「ファンベース」でしょう。企業が大事にしている価値を大事にしてくれる「ファン」をベースに、中長期的に企業の価値を高めていく「ファンベース」は、現代のマーケティングに求められている考え方です。
toCはもちろん、toBの企業においてもファンベースの考え方は成立します。少数のファンが売上の大半を支えてくれているケースが多く、ファンを起点に売上を安定させ、ファンを通じて新規顧客を獲得していく具体的な方法論や考え方が示されている本です。
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ
マーケティングは、バンドの活動に学ぶこともできます。グレイトフル・デッドは、現代で重要になっている「ファンベース」の考え方や、西野亮廣さんが作品を届けるために展開しているマーケティング手法(クラウドファンディング、オンラインサロン)をもっと前から実践していたバンドといえます。
各章が短く、平易な文章で書かれているだけでなく、具体的な企業の事例もセットで解説しているため、マーケティング初心者に読んでほしい本のひとつです。
人生の勝算
SHOWROOM代表の前田裕二さんの著書。
少年時代の実体験や長く愛されるスナックの特徴を抽象化した本質に「ファンマーケティング」があるとしています。近年でいう「AKB48」などからもわかるように、ファンを作るには「余白の設計」と「コミュニティ」がキーワードになっています。
この学びを活かし、「努力が報われる世界の実現」を掲げてSHOWROOMのサービスを提供する前田さんが見据えるエンタメについても触れられており、学びの多い本です。
<応用編>上級者のおすすめのマーケティング本
本記事ではおもに初心者向けのマーケティング本をご紹介していますが、マーケティングの基礎を理解・実践している方におすすめの本もいくつか掲載しておきます。
リーダーにもおすすめ!『マーケティングとは「組織革命」である。』
マーケティングでは、商品やサービスを創造し、それを顧客に届けるまでの全てのプロセスに関わります。言い換えると、部署などの壁を超え組織全体に横串を刺し、それぞれが機能するように設計したり、時には泥臭いコミュニケーションや交渉をしたりといったことが求められます。
森岡氏がUSJを立て直せたのも、マーケティングのトップとして組織を動かし、「マーケティング脳」を定着させることができたことが大きいです。そんなエッセンスなどが書かれているのがこの本です。
「確率」をマーケティング戦略に応用する『確率思考の戦略論』
マーケティングに取り組むうえで、最低限の数学的な素養が必要です。
その前提で、自社が達成したい売り上げや利益の目標から逆算し、どのような層に対してどれだけの認知が必要で、そのためにどのような施策を行うか、といったプランニングに必要な確率的な考え方を学べる本です。
マーケティングの基礎を理解しており、より踏み込んで戦略を練りたい方は必見です。
「信用」が重視される時代のマーケティングとは?『THIS IS MARKETING ディスイズマーケティング 市場を動かす』
マーケティングといえば、「広告」のイメージも未だに根強いですが、現代は誰もが情報発信を行えるため、いわゆる「誇張広告」は通用しなくなっています。
「信用」が重要視される時代において、マーケティングに携わる者として備えておくべき素養や考え方が解説されています。
具体的なマーケティング事例も盛り込まれていますが、海外の本の翻訳であること、マーケティング初心者にはやや抽象的でレベルが高いことから、応用編に入れています。
マーケティングの真髄・消費者心理の理解に役立つ『「欲しい」の本質』
マーケティングを考えるうえで、消費者の深層心理を理解することが欠かせません。
一方で、「ニーズ」の段階では消費者本人がそれに気づいていない・言語化できないことも多く、マーケターとしてはこれを先回りし、商品やサービスに活かし、その「インサイト」を突いたプロモーションを行うことが大切です。
「インサイト」について深い洞察が入ったおすすめのマーケティング本です。
マーケティングをより実践的・本格的に勉強したい方は・・・
マーケティングの原理原則自体は突き詰めると非常にシンプルですが、それをどう実践に落とし込むかがハードルのひとつになります。
マーケティングを実践的に学びたいあなたにおすすめ『マーケティング思考力トレーニング』
自分の仕事でマーケティングを実践できる機会があまりない方も多いかもしれません。しかし、マーケティングのナレッジ集積は、ある意味「思考訓練」の積み重ねともいえます。そこでおすすめなのが「マーケティングトレース」です。
興味のある企業のCMO(マーケティング責任者)になりきり、自分ならどのような戦略を立てて実行するか、その訓練を積むためのフレームワークを示してくれています。
マーケティング上級者のあなたに『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』
本記事でご紹介している本は、マーケティングのエッセンスを学べるもののどちらかとえば初心者におすすめの本たちです。
より本格的な内容や上級者向けの内容、より体系的に学ぶにはより多くの本やその著者のナレッジに触れるのがおすすめ。世界のエリートがキュレーションしてくれたマーケティング本のエッセンスを短時間で一気にキャッチアップできます。
そのなかで強く興味を持った本をさらに読んでみてはいかがでしょうか。
BtoBマーケティングのおすすめ本
読者のなかには、一般的にイメージされがちな消費者向けマーケティングではなく、企業向け、つまりBtoBマーケティングの領域で奮闘している方もいらっしゃるかもしれません。
BtoBマーケティングの特徴
マーケティングの基本的に部分や本質は同じではあるものの、消費者向けのマーケティングとBtoBマーケティングでは押さえておくべき違いがいくつかあります。
消費者向けマーケティングの場合、よほど高額でない限りは認知から購入までの期間は短く、関係者も消費者本人しかいません。一方、BtoBマーケティングの場合、サービスそのものもある程度高額で、意思決定に関わる人数も多くなります。それに伴い、認知から購入までの期間も長くなります。
これらの違いから、BtoBマーケティングではターゲットの選定からリード獲得までを指すのが一般的です。顧客に商品やサービスを届けるうえで、営業との連携も重要になります。その前提で、BtoBマーケティングを勉強するうえでおすすめの本をご紹介します。
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
Salesforceを知っている人も多いですが、Salesforceというサービスを利用してもらうまでの共業プロセスを分かりやすく解説しています。
BtoBにおいて、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスが分業しつつ強力することが高いビジネス成果に欠かせません。BtoBマーケティングを強化するうえで、本書はひとつの指針になるでしょう。
事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践
BtoBマーケティングのナレッジといえば「才流」という会社が非常にオープンに共有してくれています。その代表を著者とする本書は、BtoBマーケティングの様々な試行錯誤から得られた学びを自社の戦略やその実践に役立てられる本です。
BtoBマーケティング偏差値UP
マーケティングの用語は英語も多く、知識の差から社内で会話が通じないことも多いでしょう。しかし、BtoBマーケティングでは多くのメンバーで共通認識を持って進めていく必要があります。BtoB企業に置いておくと知識レベルを合わせられるのが、この本といえます。
【BtoBマーケティングの本】おすすめ書籍10冊を紹介!各ステップ毎に実務に活かせる書籍まとめ
【BtoBマーケティングの本】おすすめ書籍10冊を紹介!各ステップ毎に実務に活かせる書籍まとめ
マーケティング思考<戦略思考<論理的思考
前半でご紹介した「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 ~成功を引き寄せるマーケティング入門~」のなかでも森岡さんが触れていますが、マーケティング的な考えを習得するには、「戦略思考」や「論理的思考」が前提として欠かせません。
冒頭でも触れたように、マーケティングは非常に領域が広く、どこに課題があるのかを見極めること(分析)、その課題に対してフォーカスすること(選択と集中)などがポイントです。この「戦略思考」を勉強するのにおすすめの本を2冊ご紹介します。
良い戦略、悪い戦略 (日本経済新聞出版)
ビジネスやマーケティングで使われる「戦略」は、使う人によって定義が異なる場合もあります。「戦略」として掲げながら実現性のないスローガンであることもしばしば。
本書は、良い戦略と悪い戦略の特徴をそれぞれ整理し、分かりやすい具体例も示してくれています。
なぜ「戦略」で差がつくのか。―戦略思考でマーケティングは強くなる―
同じ資金力や人員でも戦略次第で結果が大きく変わってきます。マーケティングは、極論すると決まった予算を預かり、それを元手にどれだけ稼げるか、と言い換えられます。
そのための手段は数え切れないほどありますが、戦略次第でどのような差がつくかを理論立てて解説しているのが本書です。戦略とは何なのか、何が戦略でないのかを明示しており、マーケティングに必要な戦略思考を習得できる本です。
初心者にもおすすめのマーケティング勉強講座
近年、色々なサブスクリプションのサービスやマーケティングのスクールが存在します。本来はビジネススクールで高額な授業料を払うような内容も、月額制で手軽に勉強することができるサービスがあります。それは「グロービス学び放題」です。
グロービスといえば、高い志を持ったビジネスパーソン向けにさまざまな講座を開いているイメージがありますが、「グロービス学び放題」で講義を動画配信しており、上質で幅広い授業を月2,000円もせずに受けられるのです。
ひとつの動画の長さも3分からとなっており、通勤中のビジネスパーソンが手軽に見れるように設計されているのもおすすめポイントです。
内容としては、マーケティングはもちろん「思考」「会計」「財務」「組織・リーダーシップ」といったビジネスパーソン必須のカテゴリも含まれています。
ビジネススクールと比較すると、当然ネットワーキングができないといったデメリットがありますが、マーケティングを始めグロービスの講座を手頃な価格で自分のペースで受講したい方は要チェックです!
マーケティング初心者の勉強におすすめのTwitterアカウント
Twitterでマーケティングについて発信されているアカウントのうち、私が初心者目線で勉強になると思ったアカウントやツイートを随時ご紹介します。
そもそも「マーケター」ってどんな仕事してるのか定義が曖昧すぎてよくわからないと言われるので、明日朝に初心者でもわかる「マーケターとは」「マーケティングとは」に関するnote出します!!
— 😘きなこ😘 | マーケター (@sooo_hc) 2020年10月19日
まあこんなにマーケ施策が多いとそう思うにも無理がないですよね(笑) pic.twitter.com/9jrXMo1cJQ
【マーケターになったらまずやること10選】
— 西村マサヤ | マーケ放送室 (@masayaquality) 2020年11月14日
今度マーケ初心者向けに講義をすることになったので、半年前にまとめたのを見返してる。
コトラーとかいきなり学んでも理屈屋になっちゃうのでおすすめしない。
まずは1人の「生活者」として、自分のインサイトや欲望を言語化するのが近道だと思う。 pic.twitter.com/40i3Bbu4Eu
マーケティングの変遷
本によっては詳しく言及されているものもありますが、マーケティング自体も時代とともに変化しています。コトラー博士の理論をベースに、マーケティングの変遷をご紹介します。
マーケティング1.0:製品中心
1960年代までの、まだまだモノに満たされない時代で、安価に大量生産し、それを消費者に届けられるかという勝負でした。
基本的にはモノを作れば売れる時代であり、「マーケティング1.0」とはいうものの、「マーケティング」という言葉が認知されるようになった程度の段階でした。
マーケティング2.0:消費者志向
市場にはさまざまな商品で溢れるようになり、「マーケティング1.0」が限界を迎えます。売り手と買い手のバランスが変化し、消費者としても一律のニーズではなく、同じような商品でも自身のニーズに合ったものを選ぶようになります。
それに伴い、マーケティングも顧客のニーズを探り、商品開発に活かすようになりました。
マーケティング3.0:価値主導
2000年代にも入り、インターネットが当たり前の時代にさしかかると色々な情報が溢れ、消費者が購買プロセスの主導権を握るようになります。売り手の一方的な広告など伝統的なマーケティングが通用しなくなりました。
機能や価格での差別化も困難になり、作り手の想いやその商品・サービスを利用することによる社会的意義などが訴求されるようになります。
言い換えると「ブランディング」です。機能以外でその会社ならではの「価値」を訴求できるかがポイントとされています。
マーケティング4.0:自己表現
さらにマーケティングが進化し、現代で重視されているマーケティングは顧客の「自己実現」に寄り添うマーケティングです。
人間の欲求のひとつに「承認欲求」があるとされていますが、モノや情報に溢れSNSが発達した世の中で「承認欲求を満たしたい」というニーズが大きくなっています。
そこで大事な視点が「その商品やサービスを利用している自分」をSNSやインターネットで自慢できるか、を消費者目線で考え抜くこと。
インターネット広告はじめ宣伝がネット上に溢れ、身近な人の「口コミ」の価値が上がっているという点でも、顧客の自己実現に寄り添い、顧客が他人に商品・サービスをおすすめしてくれる状態を作り上げることがポイントです。
マーケティングはビジネスパーソンの必須科目?
マーケティングは、実はマーケターだけが使うものではなく、極論すると全てのビジネスパーソンに必須のナレッジ・スキルともいわれています。
商品やサービスをより多くの人に届けるために必要なものでもありますが、マーケティング的な考え方は身近なところでいえば上司や部下、家族や友人とのコミュニケーションなどにも転用できます。
マーケティングを使う仕事をしていなくても、ぜひ学んでみることをおすすめします。
今回は、「マーケティング」にフォーカスしておすすめ本をご紹介しましたが、本ブログは主に「スポーツビジネス」に関する情報を発信しています。スポーツビジネスに関するおすすめ本も以下で紹介しているので、こちらも是非ご覧ください。
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