2020年は新型コロナウィルスが流行し、生活面やビジネスにおいて「オンライン」「デジタル化」がキーワードになりました。マーケティングにおいても、もともと「Webマーケティング」や「デジタルマーケティング」の活用が広がってきていたものの、コロナを機にさらに重要度が増しています。
その一方で、そもそも日本社会は人材不足が叫ばれているなか、デジタルを活用できる人材の育成が求められています。今回は、特にこれからWebマーケティングを身につけたい初心者におすすめの本をご紹介していきます。
- そもそも「マーケティング」とは?
- Webマーケティングとは
- 初心者必見!Webマーケティングの勉強におすすめの本
- Webマーケティングの全体像を理解したうえで個別分野を学ぶ
- Webマーケターとして理解しておきたいテクノロジー
- Webマーケティング・おすすめの勉強法
- Webマーケティングの基本用語を解説
- Webマーケティングの勉強におすすめの動画
- Webマーケティングは万能ではない
そもそも「マーケティング」とは?
Webマーケティングを勉強するにあたり、当然ですが「マーケティング」を理解しておく必要があります。一方でマーケティングが指す範囲があまりにも膨大であるため、ここでは
・プロダクトが中長期的に売れ続ける仕組みづくり
・「売る」ではなく顧客に「買いたい」「使いたい」と思わせる
という2つのポイントを抑えておきましょう。
まずはマーケティングについて学びたいという方におすすめの本も別途ご紹介しています。
Webマーケティング以前に、そもそもマーケティングの初心者という方は、先にこの2冊だけでも読んでみるとマーケティングで必要とされる能力や、マーケティングがどのように企業やビジネスを成長させてくれるか、具体的にイメージできるでしょう。
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)
P&Gやスマートニュースなどでマーケティングの大きな功績を残された著者による、理論的かつ実践的なマーケティングの解説です。モノに溢れた現代では、良いものを作れば売れるとは限りません。文字通り、「顧客起点」のマーケティングがどのような成果をもたらすかをマーケティング初心者にも分かりやすく解説されています。
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 (角川書店単行本)
こちらもP&G出身でテーマパーク・USJを復活し、今日の人気の礎を築いた著者が、窮地に陥っていたUSJを救ったマーケティングの考え方や発想を紹介してくれています。マーケティングの基本スキルや考え方も重要ですが、私としては優れたマーケティングのアイデアを実行するうえで社内外のさまざまな関係者を巻き込んでいく必要があることを痛感させられた本でもあります。
Webマーケティングとは
上記の「マーケティングとは」におけるポイントをWebを通じたマーケティング活動で実現していくことがWebマーケティングといえます。たとえば、SEO対策で継続的な集客につなげることやWeb上のコンテンツを通じて顧客の関心やエンゲージメントを高めることなどが挙げられます。
Webマーケティングによって変わったこと
Webマーケティングによって、マーケティングの形が変化しています。全てを挙げるとキリがないですが、ひとことで表すと「マスマーケティングからOneToOneマーケティングへの変化」です。スマートフォンが普及し、WebやSNSにおけるユーザーの行動や関心を可視化できるようになりました。広告を例に取ると、マーケティング上重要な「ターゲティング」は「メディア・媒体」という「枠」を通じて行っていたのが、ユーザーという「人」という切り口で細かく行えるようになりました。
また、検索行動も可視化できるようになり、そのユーザーが解決したい課題とそのタイミングに合わせてアプローチできるようなっています。「検索」というニーズが顕在化したタイミングで広告やコミュニケーションのアプローチをするのは効率的です。その他を含め、ユーザーの購買行動が大きく変化したこと伴い、Webマーケティングが担う役割が大きくなっています。
Webマーケティングが求められる理由:購買行動の変化
デジタル人材不足のなかには、当然Webマーケティング人材の不足も要素としてあるわけですが、それだけWebマーケティングが求められるようになっている背景があります。
よくいわれていますが、デジタル時代になり消費者や企業の購買行動が変化しています。「AIDMA」や「AISAS」という購買に至るプロセスモデルがよく挙げられますが、購買側はWebやSNSを通じて情報の入手が容易になり、能動的に情報を取得する人にどう情報やコンテンツを届けるか、がWebマーケティングの本質のひとつでしょう。
さらに、2020年の新型コロナウィルスにより、情報収集だけでなく購買そのものもよりオンラインに移行していっています。本記事では、まさにこの時代に求められるWebマーケティングを勉強するのにおすすめの本を厳選して紹介しています。
Webマーケティングとデジタルマーケティングの違いは?
Webマーケティングに興味のある人が気になるのが「デジタルマーケティング」との違いかもしれません。これについても、ここではデジタルマーケティングがWebマーケティングより広い概念です。
たとえば、SNSを通じたコミュニケーションでファンを増やすことやMA・CRMの活用などは直接的には「Webマーケティング」には当てはまらず、かつ「デジタルマーケティング」に当てはまる領域です。一方、Webマーケティングならではの領域は、Web広告(リスティング/ディスプレイ/リマーケティング等)やSEOなどです。
Webマーケティングは企業や店舗などのWebサイトを中心に、いかにWeb上で集客し、購買や問い合わせによるリード獲得などにつなげるか、デジタルマーケティングはWebサイトだけでなくオンラインでのあらゆる顧客との接点を組み合わせながら集客や販売につなげるか、といった違いと捉えておくとよいでしょう。
複雑化するWebマーケティング
Webマーケティングを学ぶうえで、非常に範囲が広く、それぞれの分野について詳細に勉強するとなると非常にボリュームが大きくなります。たとえば、Web分析でGoogleAnalyticsなどの使いこなし方を学んだり、Web広告に関して詳細なテクノロジーまで学んだりするのは非常に負担が大きくなります。あくまで一例ですが、Web分析やSEO、Web広告や関連するテクノロジーを挙げてみると、これだけ覚えるべき概念や用語、ツールなどがあります。
Webマーケティングを本格的に学ぼうとすると、「木を見て森を見ず」の状態になりがちです。そこで今回は、特に初心者や独学にもおすすめできる、Webマーケティングの全体像を理解できる本を中心に紹介したいと思います。
初心者必見!Webマーケティングの勉強におすすめの本
それでは、Webマーケティングの勉強におすすめの本をご紹介していきます。
沈黙のWebマーケティング ─Webマーケッター ボーンの逆襲─ アップデート・エディション
マーケティングもそうですが、WebマーケティングではSEOなど小難しいカタカナや英語がたくさん出てきます。それだけで難易度が高く感じてしまいますが、Webマーケティングの本質はシンプルです。そのエッセンスをストーリー形式で理解しやすい内容にしてくれているのが本書です。初心者の最初の1冊として、ぜひご覧ください。
デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?
タイトルとしては「デジタルマーケティング」が入っていますが、内容はWebを中心とした部分が多くなっています。数多くのWebサイトを解析するサービスを展開する筆者が語る、デジタルマーケティングの本質は非常に説得力を感じます。Web上でユーザーがコンテンツに対してどう感じどう行動するか、ユーザー目線も交えながら端的に解説されています。本書はWebマーケティングで成果を出したい方には必見です。
世界基準で学べる エッセンシャル・デジタルマーケティング
こちらもデジタルマーケティングをメインとした本ですが、そのなかでWebマーケティングの基礎と全体像について理解を深められ、Webマーケター初心者としてはこの本の内容を理解できれば十分でしょう。
Webマーケティングの目的やメリットを理解し、具体的な施策に落とし込むうえでの考え方も同時に学ぶことができ、本記事でご紹介する本のなかでも実践向きといえます。
僕らはSNSでものを買う
SNSの内容も含まれた本ですが、決して「SNSマーケティング」が単独で機能するのではなく、Web上でのコンテンツマーケティングと組み合わせることでUGC(User Generated Contents)が生まれ、信頼性の高いUGCからコンバージョンや拡散につながるということを詳しくかつわかりやすく解説してくれます。Webマーケティングやデジタルマーケティングは、決して大きな予算を持たない中小企業や個人事業主でも成果につなげられることをストーリーを通じて伝えてくれる本でもあり、いきなりWebマーケティングの担当者を任されることになった方や、初心者の方が勇気づけられる一冊です。
新訳 ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方
全米トップマーケターの代表作とされる伝説の名著が新訳として出版されているこの本では、マーケティングの普遍的な原則や考え方が記されています。特に後半パートでは現在のWebマーケティングに対する深い洞察があり、この内容がまさに令和のいま現実になっています。マーケティング全般を学びつつ、Webマーケティングの実践的なアイデアもたくさん詰め込まれており、バイブルとしてデスクの横に置いておくのがおすすめな本です。
Webマーケティングの全体像を理解したうえで個別分野を学ぶ
たとえば、企業でいきなりWebサイトの担当などを初めて任された際にやってしまいがちなのがいきなりWebサイト分析などの個別分野から学び始めることです。やはり、Webマーケティング(に限らずですが)の全体像を把握したうえで、自身の業務を位置づけた方が成果につながりやすいでしょう。その意味で、初心者の方はここまでにご紹介した本で、まずは「Webマーケティングとは」の理解を深めるのがおすすめです。
そのうえで、Webマーケティングのそれぞれについて知識や考え方を深めたい方におすすめの本を以下でご紹介します。
アドテクノロジーの教科書 デジタルマーケティング実践指南
Webマーケティングのなかでも顧客獲得において重要なデジタル広告では、近年さまざまなテクノロジーが普及しています。企業の担当者として、あるいは代理店の担当者としてテクノロジーへの理解を深めることが大切です。DMPやRTBといった技術の概要や、それらをどうWeb広告に活かし成果を最大化させるかを考えるうえで必要な技術的内容を分かりやすく解説しているのが本書です。
沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—
最初にご紹介した本と同じシリーズでWebライティングに特化した内容です。WebマーケティングにおいてSEO対策が重要なのは言うまでもないですが、特にコンテンツマーケティングで集客したり顧客の興味関心を高めるにはWebライティングに技術が欠かせません。本書は、SEO対策もしつつ、ユーザーの心に響き、さらに売上につながるようなコンテンツを生み出すためのエッセンスをストーリー形式で解説してくれます。
できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260
Webマーケティングを担当するうえでWebサイトの分析は必須であり、多くの場合GoogleAnalyticsを利用しています。非常に高機能かつ多機能で便利なのですが、それが故に使いこなすハードルが高く感じる方も多いです。本書は、機能ではなく「やりたいこと」を起点に逆引きで必要な機能を探すことができ、実務にすぐに役立てることができます。
Webマーケターとして理解しておきたいテクノロジー
Webマーケティングにはさまざまなテクノロジーが用いられています。テクノロジーを使いこなせる必要はありませんが、Webマーケターとして仕事をしていくうえで裏側にあるテクノロジーを理解しておくとクライアントやパートナーと会話しやすくなります。
集中演習 デジタルマーケターのためのテクノロジー入門 できるDigital Camp
Webマーケティングと密接に関わる「インターネット」や「Google Analytics」、「広告」などの裏側を支えるさまざまなテクノロジーがあります。Webマーケターとしてこれらのテクノロジーの知見を深めることで、柔軟な対応ができたり、クライアントやパートナーとの認識を合わせやすくなったりします。アナリティクスやタグマネージャーに欠かせないJavascriptの仕組みやSEO、インターネットの仕組みなどを何となくの知識として留めている方には特におすすめです。
Webマーケティング・おすすめの勉強法
本記事でご紹介したようなWebマーケティング本で基礎やエッセンスを学ぶのが初心者にはおすすめですが、一方でWebマーケティングは変化が速い世界でもあります。よって本質的な部分は変わらないにせよ、自分でも実践しながら試行錯誤をしていくのが効率的です。
実践的なWebマーケティング学習法|独学におすすめ
実は、私もWebマーケティング実践の場という意味もあり当ブログを運営しています。たとえば、「スポーツビジネス」と検索するユーザーの意図を考え、それに応えられるコンテンツにブラッシュアップしていくこと、GoogleAnalyticsやSearchConsoleを駆使しながらコンテンツの改善点や狙えるキーワードを抽出していくことなどです。
最初は趣味の延長でスポーツビジネスに関する情報を記事にしていたのですが、マーケティング領域にも興味があり、SEOでの集客を試行錯誤しながら進めてきました。その甲斐もあり、当初から比較すると検索流入が相当伸びています。年間で見れば、検索流入は昨年比で4倍程度に伸びています。
数字は伏せますが、このような感じです。
ぜひ、ブログやSNSなどで情報発信しながらWebマーケティングを実践してみてください。
Webマーケティングをマスターするメリット
Webマーケティングを習得するメリットはたくさんあります。
たとえば、私のように本業は別にあるなかでWebマーケティングを実践しながら副業収入を得ることもできます。私はまだまだ駆け出しですが、副業でも月々の生活費を賄えるレベルで収益化できている人も一定数いるでしょう。
また、あまりマーケティングや広告の予算を確保できない中小企業においてもWebマーケティングを効果的に展開できれば、低コストで中長期にビジネス成果につなげていくことができます。
特に、SEOやリスティング広告を中心とした「検索」に紐づく施策は、低コストかつ確度が高いです。なぜなら、「検索」というアクションは、そのユーザーの「ニーズ」が顕在化された状態だからです。「検索意図」を精度高く把握し、そのニーズに合わせたコンテンツを提供することで、見込み顧客の獲得や購買につなげられます。
Webマーケティングではさまざまな専門用語が出てきますが、その原理原則はシンプルです。中小企業ほど、外部に丸投げではなく、自前で行うか、自社がイニシアチブをとって進める方が費用対効果が高いでしょう。
Webマーケティングでは「因数分解」がポイント
Webマーケティングに限ったことではありませんが、さまざまな数字が可視化されるWebマーケティングでは「因数分解」がより大切になります。言い換えると「ロジカルシンキング」です。
たとえば、通販サイトでの販売やBtoBサービスで問い合わせの獲得をWebマーケティング上のひとつのゴールとしたときに、ゴールに至るまでのプロセスを分解し、それぞれの数値を分析・改善していくことが重要です。
かなり簡略化していますが、たとえばコンバージョンの獲得数が目標に達していない場合、上記にようにプロセスを分解してそれぞれの数値を分析します。業界の目安となる数値や自社の過去のデータとも比較しながら、ボトルネックを見つけていくといった、ビジネスでは当たり前の取り組みがWebマーケティングでも非常に大切です。
このようなロジカルで基本的な考え方などを鍛えられる本は以下の記事でもご紹介しているので、もし良かったら覗いてみてください。
Webマーケティングの基本用語を解説
詳しい内容は本に譲りますが、本記事でも最低限知っておきたいWebマーケティングの用語について簡単に解説します。
インプレッション
Web広告(ディスプレイやリスティングなど)が表示された回数を指します。広告に限らず、SEO文脈でも「表示回数」の考え方は必要です。よく"imp"と表記されます。
あくまで「表示」の回数であり、ユーザーが目にして認知してくれたとは限りません。むしろ、インプレッションだけでは認知は達成されていないと考える方がよいでしょう。実際、ユーザーとしてクリックをしていない限り、どんな広告があったか覚えている人はほとんどいないでしょう。
クリック数
文字通りではありますが、Webマーケティング文脈ではWeb広告や検索画面で表示されたコンテンツや検索結果がクリックされた数を表します。
CTR(クリック率)
計算式でいえば
クリック数/インプレッション数
広告や検索結果で表示された回数に対して、クリックされた割合です。
コンバージョン
Webサイト上での成果のことで、ユーザーによる資料請求やECでの購入など、売上につながるアクションを指します。よく"CV"と表記されます。
CVR(コンバージョン率)
計算式でいえば
コンバージョン数/訪問者数
Webページに訪れてくれたユーザーのうち、コンバージョンに至った割合です。
Webマーケティングの勉強におすすめの動画
Webマーケティングを学ぶのに本記事でご紹介したような本もおすすめですが、最近はYoutubeの動画にも参考になる情報がたくさんあります。本格的に学ぶ場合はやはり書籍がおすすめですが、Webマーケティング初心者の入り口としては動画もおすすめです。
【初心者向け】webマーケティングとは
第1回 Webマーケティングの完全ロードマップ【プロが徹底解説】
第1回 Webマーケティングの完全ロードマップ【プロが徹底解説】
Webマーケティングは万能ではない
初心者の方がこれからWebマーケティングを学ぶにあたり、Webマーケティングでできることとできないことをしっかりと区別しておく必要があります。Webの時代になり、場所を問わず世界中とつながれるというメリットはありますが、Web上には既に情報が溢れており、誰にでも情報を届けられるわけではありません。また、ビジネスによってはWebマーケティングよりもリアルなマーケティングが重要な場合もあります。地域に根ざした飲食店などは典型的な例でしょう。地元のコアなファンが何人いればビジネスが成り立つのか、そのコアファンからどう派生するかといった「ファンベース」の考え方を優先すべきケースも多いにあるでしょう。Webマーケティングはあくまで手段であり、飲食店の例でいえばリアルな場で信頼を貯め、コロナなどの危機でクラウドファンディングを手段として使うのが効果的です。
盲目的にWebマーケティングを万能と考えず、あくまでツールのひとつとして自社のマーケティングにどう組み込むか、といった視点で本の内容も理解してもらえるとよいと思います。
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